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当院の手術室をご紹介します

 皆さんには普段はめったに縁がない手術室をお見せします。通常の手術室は高度清潔区域とされ、陽圧換気になっています。外部からの空気の流れをシャットアウトし、内部に清潔な気流を起こして、目に見えないほこりや菌などを外に逃がす仕組みになっています。そのため、入り口は密閉性の高いドアが二重になっており、入室の際には外側のドアが完全にしまってから内側のドアを開けて患者さんを入れるようルールが出来ています。室温も一定に保たれており、湿度も低めに設定されています。

当院の手術室のドアです。この奥にもう一枚ドアがあります。

 手術室は特に大きさが決められているものではありませんが、脳外科手術の場合はいろいろな機材が入るので、ゆったりしたつくりになっています。

当院の第一手術室です。中央に無影灯が2つ天井から下がっています。

第二手術室です。脳血管撮影用の大きなX線機器が入っています。

手術室の内部は非常に明るく、さらに無影灯という影のできない大きなランプが2つあります。患者さんの画像データを閲覧するモニターが設置されており、術前の手術計画を読み込んで治療の際の確認を行っています。角度や長さの計測が可能です。

モニターでは様々な角度から手術計画を立てられるようにデータを解析しています。

つぎに紹介するのが、脳外科医の巨大なメガネ、手術用顕微鏡です。当院では、ドイツ製のカメラで有名なライカ社製の顕微鏡を導入しています。通称、マイクロとわれわれの間では呼ばれています。研修医の頃は、早くマイクロが使えるようになりたいという思いで、日夜練習に励みました。老齢になって、目に衰えを感じてもマイクロさえあればまだまだやれるという外科医が多いので、70歳過ぎても現場で働ける医者が後を絶ちません。私も70過ぎても外科医で頑張ろうと思っています。

かなり大きな顕微鏡です。倍率や焦点をあわせる速度などは、ユーザー設定ができるので、個人の好みにカスタム化が可能です。

 また、術前に取り込んだデータをもとに、ナビゲーションシステムを装着して安全な手術ができるよう心がけています。当院ではStriker社製の最新鋭のシステムを使用しています。カーナビと同じで、手術でどこを操作しているかがリアルタイムに表示されます。

最新のナビゲーションシステムCranial Mapです。今では脳外科医にとって、大事な地図になってくれています。

 下垂体腫瘍などの手術で活躍するのが、神経内視鏡です。当院では最新式の神経内視鏡セットを揃えています。ほかにも脳腫瘍の手術で活躍するのが超音波破砕機で、これもStriker社製の最新機器であるSonopetが入っています。この最新版は国内でもまだ数施設しか導入していないものです。非常に安全かつ迅速に腫瘍を粉砕して吸引するので、以前の半分程度の時間で摘出が可能になっています。

神経内視鏡です。おもに顕微鏡では見えない箇所の観察を行います。角度は0度、30度、70度など数種類用意されています。

最新鋭の超音波破砕吸引器です。主に脳腫瘍の摘出に使用されます。

 手術室にはこの他に、様々な角度や傾斜をつけられるベッドや、麻酔器、手術機械を消毒するための洗浄機、血管内手術用の大型放射線装置などがあります。こうした最新鋭の機器を駆使して、病気と闘うための空母のような作りになっています。日ごろから管理も厳重に行っているので、緊急手術の際にも円滑に使用が可能になっています。われわれ外科医にとっての手術室は、もっとも緊張を強いられる場所ですが、結果が良ければ、病に苦しんでいる患者さんの病気のもとを取り払ってしまえる場所でもあります。私自身にとってはとても神聖なところであり、毎年初には神社でいただいたお札を収めるのが習慣になっています。

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