1. HOME
  2. ブログ
  3. 当院で治療を受けられた方々の報告(2023年脳腫瘍50例より一部抜粋)

当院で治療を受けられた方々の報告(2023年脳腫瘍50例より一部抜粋)

当院で2023年に手術を受けられた、主な患者さんの画像と略歴です。髄膜腫(18例)、頭蓋咽頭腫(4例)や下垂体腫瘍(9例)、聴神経腫瘍(8例)の患者さんが多く手術を受けられました。重度の後遺症を生じた方は一人もいませんでした。また、後出血などで再手術となった患者さんは1例のみでした。ほとんどの方が手術の前日に入院され、術後7日目で退院されています。手術時間は最短1時間15分から最長でも4時間37分、平均2時間21分でした。入院期間の平均は下垂体腫瘍で11.4日、良性脳腫瘍の方で8.5日でした。術後1日目の昼から食事、2日目からシャワー浴、3日目には洗髪もできています。

下記に当院で治療を受けられた方の6つの改善された症例についてご紹介いたします。

下垂体腺腫(下垂体腫瘍(プロラクチン産生腺腫 薬剤抵抗性)40代 男性

プロラクチンという乳汁の分泌を促すホルモンを出す下垂体の腫瘍です。この方は、激しい頭痛と視野の欠損があり見つかりました。当初はカベルゴリンという薬で治療を行っていましたが、効果がほとんどないために手術を行いました。鼻から内視鏡で摘出を行い、全摘出してホルモンの値は正常化、視野も完全に回復しています。

斜台髄膜腫による三叉神経痛 70代 女性

右の顔に激しい痛みを生じる三叉神経痛で近くの大学病院に通院されていました。テグレトールという薬で何とか凌いでいたそうですが、痛みの原因は斜台という脳の奥深い骨にできた髄膜腫という腫瘍のためとわかりました。大学病院の脳外科では手術は危険といわれ、当院のガンマナイフという放射線治療を紹介されました。髄膜腫に対する放射線治療は最終手段であり、腫瘍は外科的手術で摘出できると診断しました。2時間の開頭手術で腫瘍は全て摘出され、術直後から三叉神経痛は消失して1週間で退院されました。

巨大髄膜腫 70代 女性(中国在住)

中国にお住まいの方です。半年ほど前から右半身の動きが悪くなり、現地の病院で6センチを超える巨大な脳腫瘍と診断されました。手術まで大変長く待機しなくてはならず、徐々に意識状態も悪くなってきたため、当院での治療を希望して緊急に来日されました。入院の際には車いすの状態で、呼びかけに対しても反応が低下していました。1週間ほど待っていただき、開頭術を行って全摘出しました。術後、当院でのリハビリテーションを2週間ほど行い歩いて退院されました。退院後は元気に歩いて外来に来ていただいています。

聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫) 60代 男性

めまい、ふらつき、左の聴力低下を訴えて耳鼻科を受診し、精査したところ聴神経腫瘍を疑われ当院受診を勧められました。以前にも当院に御紹介して頂いていた耳鼻科クリニックでしたので、すぐに治療の予定をたてて開頭術ですべて摘出しました。術中には神経刺激装置という機器を使用して慎重に摘出しましたが、術後顔面神経麻痺を生じました。現在、半年ほど経過しましたが、ほぼ回復しています。慎重な手術を行い、刺激装置で反応が残っていても術後に顔面麻痺が出ることはありますが、おおむね半年ほどで回復します。

迷走神経鞘腫(レックリングハウゼン病) 40代 男性

レックリングハウゼン病という、全身の皮膚や神経に腫瘍ができる難病の方です。飲み込みが悪くなり(嚥下障害)、声がこもるようになった(嗄声)との症状で発症しました。MRIでは咽頭間隙という部位に腫瘍が見つかりました。脳外科の腫瘍手術というと、頭を開けて腫瘍をとるものと思われがちですが、神経外科ですので脳以外の場所にできた腫瘍も対象になります。この場所はいろいろな神経が複雑に走行しているので、各種の神経モニタリング装置を参考にして摘出を行いました。術後もしばらくは嚥下障害と嗄声が残っていましたが、3か月ほどで回復し、食事も良好にとれています。

聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫 ガンマナイフ後) 60代 女性

当院で3年前にガンマナイフ治療を受けた方です。2年ほどは徐々に小さくなっていましたが、3年過ぎ頃から再び増大してきました。再度ガンマナイフ治療も勧められましたが、今回は外科的にとってほしいと希望されました。手術で腫瘍を観察してみると、内部は壊死していましたが、奥の方には元気な腫瘍組織が充満しており、放置したら大きくなることが判明しました。約3時間の手術で全部摘出し、術後の合併症も全く起こさずに退院されました。こんなことだったら、3年前に手術をお願いすればよかったと仰っていました。

関連記事